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about daily life , just about photograph. 日常のこと。つまり写真のこと。


2015.12.01

act

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例えば、僕が見ている世界と、あなたが見ている世界は違う。

別にこれは冷たく突き放しているわけではなくて

ただ、人の数だけ世界は在る、ということで。

だからダンスが生まれ

絵画や彫刻が生まれ

ファッションや映画や小説や詩が生まれるのだ。


例えば写真もその一つで。

素晴らしい写真はこの世に溢れているけれど

それらの善し悪しはともかくとして

最高にかっこいいとか、美しいとか愛らしいとか

僕が感じているように撮っている人が、ただ単純に他に居ないから

僕は自分のファインダー越しの世界にピントを合わせシャッターをきる。

そして世界はこんな風にも美しいんだよって

誰かに、その一枚で伝えたいだけなんだと思う。


そんな一つの行為、そのものは、とても小さいことかも知れないけれど

色々と不穏な今のこの世界にあって

芸術と呼ばれているものの為すべきことって、例えばそういうことなのだと思う。


美しいものを好んで壊す人はいない。

愛おしいひとを好んで傷つける人はいない。

喜びや笑顔や感動は、時として年齢も性別も民族も言語をも超えて響き合い

そして分かち合あうことが出来る。

何も特別なことではなくて

ただ、芸術というものはそういう力を持っている。

そして、今こそ一人一人が、その力を発揮すべき時で。


規模の大小とか有名無名とかは関係無い。

躊躇している時間の余裕なんてものも無くて

出来るところから、今、直ぐにでも始めなければならない。

それは芸術や表現に僅かでも関わっている者の、今、生きているこの世での使命なんだと思う。


皆が違うということ

それはユニークで、とても素晴らしいことなんだ。

だから今の自分に出来ることから一つずつ。

先ず一歩踏み出して、とにかく動くことなんだと。



ところで夏目漱石は "I LOVE YOU" を「月が綺麗ですね」とでも訳しておけばいい、と言い

二葉亭四迷はツルゲーネフの「片戀」の "ваша (ヴァーシャ=yours)" を「死んでもいい」と訳した。

同じ月を眺めていても、同じように見えているとは限らない。

けれども、一生に一度くらい、そんな風に誰かと通じ合えたら素敵だな。

例えばそんなことも、大切なひとりへ向けての、ささやかな芸術の一つなのかも知れない。

なんてね。

新月へ向け、少しずつ欠け往く月を眺めながら、ふと。
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